【ウクライナ】ウクライナ旅行08 チェルノブイリ:リアル2万5千年の荒野 パート2

ウクライナ

モニュメント

 

 

前回の続き

事故に対処した人たちをたたえて、すべて募金によって建てられたらしい。
真ん中には「地球を救った英雄たち」と書かれているらしい。

個人的には、左側で頭を抱えて膝をついている人が気になった。
実際殉職された人もそれなりにいるのだろう…。

 



遠隔操作マシン

 

事故発生時に即興で作った遠隔操作マシンたち。
建屋に入っていただけあって、ここだけ放射能値が高い(3.0μs/h)。

ここでガイドのユージンさんが当時の状況を説明してくれた。
説明が終わった後、「この現状をどう思う?」とトーマスが振ってきた。

「…!?」
いきなり振るのかよ、と思いながら、正直何も言えることが出来ないので何も答えなかった。
なぜなら確かにこのような有様を見れば、原発を推進することはできないかもしれないが、今まで原発のおかげで潤ってきた人たちもいるわけだし、また安定した電力および今後の電気料金の高騰などを考えると、原発反対論者みたいに即答なんて、とてもではないが私にはできないと思ったからである。

まさに、「2万5千年の荒野」の最後のセリフ、「どうすればいいんでしょうか…」である。

 


「日本の福島はどうなってるの?」とトーマスがさらに聞いてきた。
正直うっとうしいと思いながら、一応以下のように答えてあげた。

「詳細は分からない。政府は大丈夫と言っているが、実際のところは分からない。
最近原発のニュースは少なくなっているし、私たちは近づくことができない。」

「ということは、フクシマもチェルノブイリみたいになるかもしれないってことだな」とトーマス。
(おいおい、勝手に決めるなよ。何も知らんくせに!) と思っていたら、ガイドのユージンさんが言った。

「それは全然違う。フクシマは確かに汚染水があるが、拡散している放射能物質はセシウムだ。
セシウムの放射能半減期は50年なので、もしこれ以上ひどくならなければ、フクシマは50年には回復する。
でもチェルノブイリで拡散している放射能物質はストロンチウムであり、これが半減するには25000年かかる。もうどうしようもないんだよ…。」

ナイスフォロー!
ちなみに後で聞いたら、ユージンさんは震災の数ヵ月後に日本を訪れたらしい。しかし警備が厳しくて中に入れなかったと言っていた。

 


するとまたトーマスが質問をしてきた。
「日本とウクライナは原発に関して何らかの情報提供しているのか。例えばウクライナでの教訓を活かした様な技術提供など?」

そんなことオレが知るわけないだろ、と思いながら一応大人の対応をしておいた。

「知らない。やっているのかもしれない…」

一応彼の質問も収まったので、再び車に乗って、さらに原発の近くまで行った。

 

 

チェルノブイリ原発付近

更に車を走らせ、チェルノブイリ原発4号機の半径1km近くまで近づいた。


ここでもトーマスが何か質問していたが、何を話していたか忘れた…。

 


右側に写っているのが、原発4号機を丸ごと覆うため作られたドームである。
2015年完成予定だったが、財政不足のため2017年に完成予定らしい。
つまり、この姿が見れるのもあと2年ということになる。

 

 

原発半径300m

更に車を走らせ、原発半径300mまで近づいた。私の参加したツアーでは、ここが精一杯らしい。
ちなみにこの辺りは、”大気中でも”放射能値が 3.0μs/hもある。
これ以上近づきたい場合は、更なる料金と許可が必要になるらしい。
そしてこの中には溶けだした核燃料、通称「象の足」がある。

 


いちおう人気の撮影ポイントでもある

 

 

プリピャチ

次に原発事故によって廃墟になった町、プリピャチに行った。

高層ビル、劇場、飛び込み台があるプール、サッカー場、観覧車などがあり、
当時としては結構な設備を兼ね備えた町だったようだ。

 


劇場とホテル


体育館


飛び込み台


二度と動くことのない観覧車

 


最後に別の居住区に行った。
ここには沢山のガスマスクが捨てられていた。
ユージンさんが言うには、これは原発のために利用されたマスクではなく、対米戦争を想定して準備されたマスクらしい。
なんでここに捨てられているのかは、きちんと聞いていなかったからわからない。

 

一通りツアーが終わった。従業員宿舎にあるレストランに戻り、これからようやく昼ご飯である。
ちなみに時刻は午後4時をまわったぐらい。

 


食事したところ。きれかった。

 

それにしても、一緒に廻ったトーマスとエリックはやたらと行動がトロかった。
私たちは3人しかいないのに、大体同じ時間帯に廻っていた10人以上の若者ツアー参加者よりも時間がかかっていたし…。

ということで食事を終えた後、チェルノブイリ原発を後にした。

 


検問所にて、放射能チェックをする。


こんな感じ。

 

ここで機械に反応があった場合、更なるチェックが行われるらしい…。
私たちは何もなかった。よかった。

そしてもうしばらく車で走り、チェルノブイリ原発の最初の検問所(入口)に到着した。

ここでガイドのユージンさんとお別れである。
トーマスとエリックは、さらにいろんな情報を聞きたいやら今度友人が行くかもしれないやらでメール交換していた。

私もようやく長袖シャツを脱ぐことができた。そして車はキエフに向かって走り出した。

 

 

キエフ到着

朝に出発したホテルには午後7時前に到着した。
ここで下してもらい、運転手、トーマス、エリックと別れた。
ちなみにおばあさんからもらったリンゴは車の中に置いていった。
(すまん。俺にはこれを食べる勇気はない…)

気を取り戻して予約していたホテルに向かった。
ホテルの場所は初日に確認してあるので、見つけるのは楽勝だった。

ということでようやくホテルに着いた。

 


結構きれいなホテルだった

 


1番にしたことはもちろんシャワーである。
体の汚れと放射能を洗い落とした。マジで気持ちよかった。

服を着替えて、事前に近くのスーパーで買っておいたビールを一気に飲んだ。
食事は数時間前にしたばかりなので、おなかは空いていなかった。

非常に貴重な経験をしたと思っている。
とにかくこの日は疲れたのでさっさと寝た。

 

きみは、生き延びることができるか…

 

(つづく)

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